歳をとると、ちょっとした段差でつまづきやすくなります。
他にも階段で滑ったり、家の中での事故の危険性が増してきますよね。
この記事ではバリアフリーリフォームの基本を解説しています。
年齢にふさわしいリフォームを行って、将来を安心して暮らせるようにしましょう。
Contents
バリアフリーの目的
日本の高齢化は速い速度で進行しています。
2025年にはほぼ3人に1人が65歳以上の高齢者になると言われています。
そのため、住宅のバリアフリー化は急務とされるでしょう。
高齢者の住生活に対する意識調査は、多くの機関から報告されています。
これらに共通することがあります。
- 自分が長く生活してきた場所に住み続けたい
- 地域社会で築き上げた近隣との交流を維持したい
- たとえ寝たきりになっても自宅で生活したい
しかし、現実的には社会的・経済的・家族関係等の理由によって実現できない場合が多くなっています。
バリアフリー性能は、健康的な生活を安心・安全に続けられるだけではありません。
歳をとっても「自宅で」「自立した」生活を送ることが出来る手段になります。
バリアフリーは高齢者の年齢や身体の状態によって異なります。
それに時間の経過によっても求める性能は変わっていくでしょう。
したがって、これらを見据えたバリアフリー計画が必要であるといえます。
少子高齢化社会に向けて
少子・高齢化社会の現代において、バリアフリーの必要性はますます高まっています。
国勢調査によると、現在すでに3世帯に1世帯が「高齢者が暮らす住宅」という統計が出ています。
さらに、そのうちの5割が一人暮らしや夫婦のみで暮らす世帯。
また、人口の割合で見ると2015年現在、日本人の26.8%が65歳、20年後には33.4%になるといわれています。
新築、リフォームいずれにしても、これからの住宅は『高齢者が住むこと』を前提として考える必要があります。
つまり【バリアフリー】が前提条件なのです。
税制面の優遇措置や補助金が設けられていることもあって、実際にバリアフリーリフォームの施工件数は年々増加しています。
バリアフリー住宅とは
バリアフリー住宅とは、「障壁のない住宅」という意味です。
身体に傷害を持つ人や高齢者が生活しやすいように設計された住まいを指しています。
バリアフリーリフォームは、年齢を重ねて40~50代でバリアフリーリフォームを行うケースが増えています。
加齢や病気、怪我などによって身体の機能が低下してきます。
すると、歩いたり座ったりというなんでもない日常動作に負担を感じるようになります。
また、小さな段差にもつまずきやすくなり、また転倒した場合のダメージも大きくなります。
このような段差などをはじめとした、住まいに存在する障壁を取り除いていきます。
家族構成や家族の生活様式、身体状況や症状などに応じてリフォーム内容が変化します。
個人個人の状況に見合った間取りの変更や床・建具等の資材が対象になります。
廊下に手すりを取り付けるなど、高齢者・身体障害者が生活しやすい空間を作ることがバリアフリーリフォームの基本的な考え方です。

バリアフリーの必要性
日本は世界でも屈指の長寿国になりつつあります。
老後をいかに過ごすかということは、充実した人生を送る上で大きなポイントになっています。
老後の余生を快適に過ごす上で、欠かすことのできない考え方がバリアフリーです。
バリアフリーは高齢者や身体障害者などの特定の人を対象にした考え方と思われがちです。
しかし、その恩恵は広範囲に渡ります。
バリアフリー住宅は高齢の方だけでなく、例えば幼児や妊婦の方などにとっても生活しやすい住まいになります。
手すりを設置したり、滑りにくい床材を使ったりする怪我を予防するのに有効ですよね。
これは家族全員に対して転等防止の効果があります。

身体能力の低下内容を把握して検討する
バリアフリーリフォームをする場合には、まず年齢を重ねるとどんな能力が衰えてしまうのかを押さえる必要があります。
五感はもちろん、思考力・記憶力・筋力などが低下します。
リフォームの際に特に重視すべき点は「見る」「歩く」「座る」「立つ」「握る」能力の低下です。
高齢者にとってはこのような作業がかなり負担になります。
その負担を軽減するためのバリアフリーリフォームです。
身体機能の段階的衰退
一般的な身体機能の衰えを段階的にとらえてみましょう。
1.日常生活に支障はないが、身体的な衰えの見られる高齢者
65~70歳ぐらいで、足腰・視力・平衡感覚が衰えてきている。
一応健康で自立して生活ができる。
2.軽度の片麻痺や骨折により、歩行に杖や解除が必要な高齢者
軽い「片麻痺」や骨折の後遺症等で障害者とまではいえない段階
3.日常的に車いすを利用し、自立や一部介助により生活する高齢者
両上下肢の障害により歩行が困難になり、車いすや歩行器が日常的に必要な段階
バリアフリーリフォームの施工箇所と実施のタイミング
施工箇所
バリアフリーリフォームの主な実施箇所としては以下の場所が多くなっています。
一戸建て・マンションともにお風呂・トイレ・廊下が多く、その内容として多いのは「手すりの設置」「段差解消」となっています。


これからバリアフリー対応をご検討の方にとって、リフォームのタイミングに悩まれる方も多いようです。
必要になってから実施すればよいと思いがちです。
バリアフリー化することで家庭内の事故を未然に防ぐことができます。
今後数十年先の暮らしを見据え「備えておく」ことが大切です。
実施のタイミング
バリアフリー・介護リフォームには「一般的な備え」と「その人に合わせた具体的」なリフォームがあります。
今は不要であったとしても先々のことを考えた「備え」としてのリフォーム。
高齢で介護が必要な人の為の「個別的」なリフォーム。
以上の二つでは内容が大きく変わってきます。
「備えのためのリフォーム」は一般的な予防策としての工事内容になります。
「個別的なリフォーム」はその人の使いやすさ・必要なものに合わせて行うリフォームです。
この2つを混同しないように注意しましょう。
リフォーム業者の選び方
見積りは数社に依頼し、相見積もりをとりましょう。
業者ごとに得意不得意や質の差があります。
そのため、見積りを多くとることがお得に理想的なリフォームを行うコツです。
1社だけだと、その価格・内容が適正なのか判断が難しくなります。
相談も念入りに行い、要望を具体的に伝えましょう。
バリアフリーリフォームの業者選びで大切なのは、そのリフォームを必要としている人をよく理解していることです。
福祉住環境コーディネーターなどの有資格者が存在し、バリアフリーリフォームの施工実績が多い業者が好ましいといえます。
バリアフリーリフォームは、介護保険の住宅改修助成制度を利用できる場合があります。
また、自治体によっては助成制度を設けているところもありますよ。
信頼できる業者であれば、打ち合せで助成制度の説明してくれるでしょう。
また、将来のことを考えてバリアフリーリフォームをする場合でも、同じです。
業者がバリアフリーについて知識が豊富かどうかを確かめます。
バリアフリーリフォームは暮らしに直結するため信頼できる業者を選びましょう。
バリアフリーリフォームで利用できる減税&補助金制度
高齢者住宅改修費用助成制度
実施団体 | 厚生労働省(手続きは各市区町村) |
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主な対象者の要件 | 1.介護保険において「要支援・要介護」に認定されていること。 2.リフォームを行う住宅の住所が被保険者の住所と同一で、本人が実際に居住していること。 |
補助額 | 補助対象工事の工事費用の90%、かつ、18万円以内。 |
主な補助対象工事 | 1.手すりの取り付け 2.段差の解消 3.滑りの防止及び移動の円滑化のための床材の変更 4.引き戸などへの扉の取替え 5.洋式便器などへの便器の取替え 6.上記に付帯して必要となる工事 |
申請期間 | 通年可能 |
備考 | 介護保険の助成制度で、申請期間の制限がない。 要件さえ満たせば、いつでもリフォームの計画と実施が可能。 |
ローン型減税(バリアフリー)
バリアフリーリフォームをローンを利用して行う場合に、所定の条件を満たせば受けられる減税制度です。
ローンを利用する場合には、ローン型減税制度と投資型減税制度のどちらかを選択できます。
控除対象限度額は1,000万円。
(所定のバリアフリーリフォーム工事費用と、それに伴う他のリフォーム工事費用の合計金額)
控除率は、内容により2%と1%に細分化されています。
ローン控除は5年間。
毎年の所得税から控除されます。
控除額が所得税を上回っても住民税から控除されないため注意が必要です。
2%対象部分の決定方法
1.対象となるバリアフリーリフォーム工事費用-補助金など
2.年末借入金残高
3.250万円
以上の3項目から最少の金額が選ばれ、毎年控除率を2%と決定します。
1%対象部分の決定方法
1.1,000万円部分-2%部分の工事費用
2.年末借入金残高-2%対象部分の工事費用
以上の3項目から最少の金額が選ばれ、毎年控除率を1%と決定します。
なお、このローン型減税の最大控除額は、5年間で62万5,000円となります。
投資型減税(バリアフリー)
バリアフリーリフォームを借入せずに行う場合、または借入したとしても住宅ローン減税やローン型減税制度をせず、所定の条件を満たす場合に利用できる減税制度です。
控除対象限度額は200万円。
(所定のバリアフリーリフォーム工事費用のみが対象)
控除率は10%
リフォーム後に居住を開始した年度分のみが対象です。
控除は所得税から差し引かれます。
注意点として、控除金額が所得税額を上回ったとしても住民税から控除されることはありません。
控除対象金額には以下の条件があり、少ない金額の方が選択されます。
- 国土交通大臣が定めるバリアフリーリフォームバリアフリーリフォーム工事の標準的な費用の額
- 200万円
以上のことから、投資型減税の最大控除金額は、単年度で20万円となります。
固定資産税の減額
所定の要件を満たしたバリアフリーリフォームを行った場合、当該家屋部分の固定資産税が減額される制度があります。
減額幅は、翌年度における固定資産税額の1/3
(100㎡相当分が上限)
固定資産税の減額は1年間のみ。
注意点として、同一年度内にエネルギー関連リフォームと併用は可能です。
しかし、耐震化リフォームとは併用ができません。