椅子

寝たきりを防ぐための座る重要性-住宅内における椅子の選び方と動作-

加齢により脚力・腹筋力が弱まります。

  • 立ち上がる動作では、徐々に手を補助として使う頻度が高まる
  • 長時間同じ姿勢を保つことが困難になる

以上のような観点から、住まいにおいて立ち座りの動作について注意点をまとめました。

座ることで寝たきり状態を防ぐ

寝た状態から起き上がることで視野が広がります。
これは視線の高さがあがるので、当然のことですね。

しかし、この視野が広がることが大きな違いを生むことになります。

周囲の動きを自分の目で見ることができることで、社会参加への意欲が生まれるきっかけとなるのです。

また、椅子に座ることでダイニングで家族とテーブルを囲むことができるようになります。

このときに一緒に食事をとる必要はありません。
テーブルを囲むだけで大きな意味があるのです。

家族や知人との食卓の席に一緒に座ることで会話にも参加することができ、生活の刺激となります。

家族との団らんに参加する椅子としては、楽な姿勢を保ちやすい製品を選びます。

背もたれの角度や座面の高さを変えることができる椅子を選びましょう。

場面や身体状況によって、最適な椅子を選ぶことが重要となります。

寝たきりを防ぐことが重要

人間の内臓や筋肉は直立した状態を基本として機能しています。

寝たきりの状態が続くと、血液の循環をはじめ、様々な部分に滞りが起こります。
そこから、やがて疾患に繋がることになります。

特に寝たきりの状態で気を付けないといけないこととして、床ずれ(褥瘡(じょくそう))があります。
床ずれは特によく聞く症状ですよね。

それだけ、床ずれは辛く、陥りやすい症状となっています。

予防と対策として、2時間に一回を目安に体勢を変えることや、床ずれ予防のふとん・エアーマットなどを利用することとなります。

また、昼間は出来るだけ状態を起こすようにします。
日光浴・マッサージなども効果的で、血行を良くすることが重要となります。

住宅内で座る体勢になる状況

椅子などに座る

椅子・便器・ベッドなどに座るためには、立った状態で椅子に背を向ける形で反転する必要が出てきます。
そのため、前方には十分な広さのスペースを取りましょう。

また、身体がふらつきやすくなるため、椅子の側方には家具や手すりを設置します。
手を添えることができるようになり安定して座ることができます。

膝の裏からかかとまでの長さは人によって違います。

座位の高さの目安としては約40cmです。

座位の高さは身体状況のよって変わりますので、必ず試した上で選ぶようにしましょう。
インターネットで通販するときには試せない場合が多くあります。

その際には、住宅や店舗にある椅子の高さを計測し、同程度の高さのもので試すようにします。

ただし、椅子は高さがある程度決まっていることが多いですよね。
そのため、椅子によっては座位の高さを変更できるものもありますので、そちらを選ぶようにします。

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床座の和室を利用する

和室はかつての日本の住まいの中心です。

床座の習慣をもっている高齢者が多いのが一般的です。
やはり日本人ですので、畳の質感があるだけで気分的に落ち着くものです。

フローリングより少し床を上げた床座の和室は、様々な姿勢を取りやすくなります。

また、和室とリビングを連続した配置とします。

椅子の高さと床座の高さを揃えることによって、感覚の差がなくなります。
その事によって立ち座り・車いすからの移動が便利となります。

浴室の椅子は床の高さに注意

浴室には洗い場・浴槽の縁・浴槽の底と環境が大きく変わります。
この事により床の高さも変わってきます。

床の高さが変わるということは体勢の変化も大きくなり、座る動作も変わります。

座る動作で注意する点
槽の縁の高さと椅子の高さを合わせること

高さを合わせることによって、座りながらゆっくりと浴槽に入ることが可能となります。
また体勢の変更が少なくなることにより、滑る危険性が減少します。

玄関にも椅子やベンチを設置する

玄関での靴の脱ぎ履きや段差があることにより、様々な危険性が多くあります。

危険性を減少させる方法
椅子やベンチを設置することで体勢を安定させる

また、合わせて手すりや側面に家具を設置することで、身体を支えることができるようになるため、動作の変更が楽になります。

便器に座る

トイレは狭い空間での体勢の変更が多くあります。
そのため、身体を支える手すりや棚を設置しましょう。

便器に座った状態から立つには前方のスペースを取るように。

具体的な数値として50cm程度スペース取ることによって、体勢の変更がスムーズとなります。

洗面台の前に座る

洗面台でも座って洗面ができるようにしましょう。

洗面台の製品選びとして洗面器下部に膝が入るスペースを取るようにします。

キッチンでも座って作業できるようにする

近年のキッチンリフォームとして、バリアフリーに対応している製品が多くあります。

その中で椅子に座ったままで作業ができる製品もあります。

調理台やシンクの下に膝が入るスペースがあり、カウンターの高さも座った状態で作業できるように調整されています。

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座位から立ち上がる動作

立ち上がりの際には、ひじ掛けを掴んで押すという動作が発生します。
このように上体の力を利用することによって、立ち上がりやすくなります。

椅子やポータブルトイレなどを選ぶときには、4つのポイントがあります。

  1. 立ち上がりやすい高さか
  2. かかとが十分にひけるスペースがあるか
  3. 高さ調節ができるか
  4. ひじ掛けや取っ手がついているか

 

立位から座るの動作

座るときに不安定だと臀部や関節に負担がかかります。
特に低い位置から上体を起こすには、さらに大きな筋力が必要となり負担が大きくなります。

負担を軽減するためには、座面を高くしたりひじ掛けを支えにすることになります。

座って移動する動作

椅子に座った状態から、そのまま移動するということはあまりありません。

例えば、ベッドからポータブルトイレや車いすへの移動するときの動作になります。
または、入浴台から浴槽へ移乗する時にも同様の動作になるでしょう。

座って移動する時の注意点
座っている高さと移動先の高さを合わせること

そのため、椅子の高さを調節できる方が動きやすくなります。

その他にも障害物がないことや途中に隙間ができないように注意をします。