屋根のリフォーム

3種類の屋根リフォームの特徴と選び方

屋根はふだん目に入りにくく、劣化が進んでも見落とすことが多い場所です。
しかし紫外線や熱・風雨を直接受ける過酷な環境であります。
外壁と並び家屋でもっとも傷みやすい部類に入る場所です。

外壁同様、屋根が古くなり傷み出すと水が家の中に入り込みます。
そこから家の骨組みをカビや腐れで駄目にしかねません。

落ち葉やゴミがたまっても水はけが悪くなり、雨漏りの原因になることもあります。
屋根を早めにリフォームすれば、家を長持ちさせることにつながります。

また、屋根リフォームは悪徳な訪問販売会社による被害も多い場所です。
安易に屋根に人を上げないように注意してください。

今回の記事では屋根リフォームに関する基礎知識を書いています。
屋根は適切なリフォームを行えば、住居を末永く使うことができます。

 

屋根塗装・屋根のリフォーム工事の種類

屋根塗装を含め、屋根のリフォームには、「塗り替え(塗装)」・「重ねぶき(カバー工法)」・「葺き替え」の3種類があります
この他にも壊れてしまった屋根を修理する「補修工事」もあります。
補修工事は既存の屋根を修復することにあたるため、今回の記事では省かせて頂きます。

屋根の素材や塗料にもよりますが、7~10年で「塗り替え」を行います。
15~20年で「葺き替え」というのが大まかなリフォームのサイクルです。
屋根の状況や劣化具合、以前のリフォームからの年月を考慮して、最適な工法を選びましょう。

屋根材には大きく分けて「粘土系」・「セメント系」・「スレート系」・「金属系」の4種類があります。
以下に屋根材ごとの大まかなリフォームのタイミングをまとめてみました。

 

塗り替え(塗装)

「塗り替え(塗装)」は最も手軽なリフォームで、屋根材に塗料を塗布する作業です。

屋根の基礎部分である下地が、それほど傷んでいない場合に有効な方法です。
塗り替えを行う屋根材は、色あせして劣化が発生する素材が対象になります。
セメント瓦・化粧スレート系・ガルバニウム鋼板などの金属系のみです。
粘土瓦である日本瓦の場合は塗装製品でありませんので、色落ちが発生しません。
そのため、日本瓦は塗り替えの必要はありません。

塗り替え作業は、既存の屋根を高圧洗浄してから下塗りと仕上げ塗りを行います。

塗料としてよく使われるのは「アクリル樹脂塗料」「ウレタン樹脂塗料」「シリコン樹脂塗料」「フッソ樹脂塗料」があります。
一般的には「ウレタン樹脂塗料」「シリコン樹脂塗料」です。

実際の工事の料金は、塗装の種類によって大幅に変化します。
塗布の料金以外に何回塗ったかなど。
温度上昇を抑える「遮熱塗装」、冷房や暖房の効率性をよくする「断熱塗装」等、付加価値により変わってきます。

塗り替えでは屋根材を交換しないため、廃材が出ることがありません。
費用的にも一番安く済む方法になります。

塗り替え
既存の屋根材の破損が少なく、下地の劣化も心配ない場合
廃材…出ない
屋根材の選択…既存のまま
費用の目安…50万円~

塗り替えは以下の方にオススメです。

・屋根の色を定期的に変えたい
・屋根の見た目を綺麗にしたい
・屋根材の劣化を抑えたい
・塗料の機能で室内気温を下げたい
・今の屋根材が気に入っている
・とにかく安くリフォームしたい

重ねぶき(カバー工法)

「重ねぶき(カバー工法)」は、既存の屋根を撤去することなく新しい屋根材をかぶせる工法です。

この工法は、下地がそれほど傷んでおらず屋根材の傷みのみが激しい場合に有効です。
葺き替えと比べると工期も短くなります。
廃材も出ないので撤去処分費を抑えることができます。
しかし、屋根材をあたらしく被せるため、材料費が塗り替えよりかかってしまいますね。

重ねぶきは既存の屋根には手をつけません。
そのため、既存の屋根の防水シートや野地板がすでに腐食・カビや劣化が進行していた場合に注意が必要です。
この場合、上から新しい屋根材でカバーをしてしまうと、余計に劣化の進行が早まります。
そうなると、劣化が建物内部へと移っていき長く住めない家にしてしまうことも。

事前調査で既存の屋根に問題が起こっていないか、入念にチェックする必要があります。

屋根が2重になるので、遮音性や断熱性もアップします。
既存の屋根材と違ったものにすれば、外観イメージも一変しますよ。

ただし、屋根材が二重になるため、屋根全体の重量は増加するデメリットがあります。
化粧スレートやガルバニウム鋼板などの「重ねぶき」に適した軽量の屋根材を選ぶことが重要です。
また、重量増加対策として施工の前に建物の強度や耐震性を確認する必要があります。

重ねぶき
既存の屋根材の劣化が進んでいるが、下地の劣化がない場合
廃材…出ない
屋根材の選択…軽くフラットな屋根材
費用の目安…80万円~

重ねぶきは以下の方にオススメです。

・屋根のイメージを一新したい
・短期間で安く屋根を新調したい
・遮音性、遮熱性を上げたい
・定期的にメンテナンス(塗装)するのが面倒

葺き替え

「葺き替え(ふきかえ)」とは、屋根材や下地などを全面的に一新するリフォームのことをいいます。

既存の屋根をすべて撤去して、防水加工を新たに施して新しいものに取り替えることになります。

どのような屋根材でも対応できるのがメリットです。
さらに換気扇や天窓など、屋根以外のリフォームも同時に行うことが可能です。
屋根材や場合によっては下地も新しくするため、建物の耐久性も大幅に向上します。

デメリットは塗り替えや重ねぶきに対すると費用が大幅に高くなる点です。
工事も規模や工数が多くなるため、日数がかかるリフォームになります。

葺き替え
屋根材と下地の劣化がかなり進んでいる場合。または屋根を軽くしたい場合
廃材…出る
屋根材の選択…どの屋根材でも選べる
費用の目安…100万円~

葺き替えは以下の方にオススメです。

・屋根のイメージを一新したい
・屋根からの雨漏りを直したい
・屋根材にひび割れや破損が著しく目立ち、屋根材の寿命がきている
・パミールなど屋根材自体に不備がある
・定期的にメンテナンス(塗装)するのが面倒

まとめ

塗り替えや重ねぶきは既存の屋根を残す方法です。
そのため、屋根を構成している木材や合板が劣化して腐食している場合には向かない工法です。
せっかく表面を綺麗にしても、中身が劣化していては意味がありませんよね。
中身が劣化していると雨漏りなどの恐れがあるためです。

葺き替えは、築年数が相当経過している場合にふさわしい工法です。
もしくは、耐震上の理由で屋根を軽くしたい場合などに向いている工法といえます。

これら3つの工法のうち、どれが最適なのでしょうか。
優良な修理業者であれば、最適な工法を提案してくれます。
しかし、見極めのためにも最低限の知識は持っておきたいものですね。