中古住宅のリフォーム

中古住宅リフォームに多発するトラブル。住宅の検査と瑕疵をチェック

最近は中古住宅を購入し、自分たちのライフスタイルに合わせてリフォームする方が増えています。
こだわりを前面に押し出した個性的なリフォームをする方もいますね。

中古住宅は新築住宅に比べて安く購入できるため、費用を抑えやすい傾向があります。

今回の記事では中古住宅を購入しリフォームする際の注意点について解説します。

 

中古住宅の瑕疵(かし)とは

中古住宅を購入するにあたり、一戸建てやマンションであっても共通の注意点があります。

それは瑕疵(かし)
瑕疵といってもあまり聞きなれない方が一般的です。

中古住宅購入における瑕疵とは「傷や不具合」のことです。

たとえば、住宅に雨漏りがあったとしましょう。
販売する住宅に不具合があった場合は売り手が修繕する必要があります。

雨漏りは雨が降っていないと確認できませんよね。
そのため、販売側が「雨漏りがある」ということを隠している場合があります。
悪質な例として、少しでも住宅を良く見せるために、表面だけ綺麗に修繕し費用を抑えるという事もあります。

また、現状では問題がなくても入居から2~3年後に修繕が必要になるということがあります。

中古住宅の購入時には重要事項の説明があります。

その時には雨漏りや構造上の問題について説明があるはず。
しかし、実際のところ細かく説明されても分からないというケースが多くあります。
そのため、入居した後で気付いてしまうという事が大半です。

購入する側の私たちからすれば、これから長いときを共に過ごす住宅となります。
問題なく過ごすためにも購入時には、これでもかと用心して注意を払いましょう。

 

瑕疵担保責任はきちんと確認する

瑕疵(かし)担保責任とは?

先の項で「瑕疵(かし)」の説明を行いました。
瑕疵とは、引き渡し時には知り得なかった、建物の「雨漏り」や「構造上の強度不足」のような重大な欠陥のことをいいます。

瑕疵があった場合、中古住宅の売り主、あるいはリフォーム工事による欠陥であればリフォーム事業者に対して責任が発生します。

発見された欠陥の補修や損害賠償などを行う責任です。
これを「瑕疵担保(かしたんぽ)責任」といいます。

ただし、この瑕疵担保責任には期間を定めることが一般的です。
購入後無期限であれば、売り手側がずっと補償を続けなくてはなりませんよね。

そのため、売り主やリフォーム事業者がその責任を負う期間について、限定することが一般的です。

期間の詳細は契約時に取り決められます。
「売買契約書」や「工事請負契約書」などの契約書に記載されます。
したがって、瑕疵担保責任の期間については、売り手側と私たちで十分に理解をしておくことが大切です。

瑕疵担保責任の例

中古の一戸建てを購入しようとし、住宅を見学に行きますよね。

その際には、目に付く壁や柱、設備などにはひと通り確認を行います。
しかし、目に付きにくい給排水などは、ほとんど確認されないのが現状です。

そのため、中古住宅をリフォームしようとすると水道管が漏水や詰まっていることに気付くケースが多々あります。

このときに、発見された不備に対しての負担を売り手と買い手のどちらが工事負担を行うのかという問題が起きます。

発見された不備に関しても、発見時に必ず写真を撮るようにしましょう。
後でどちらの責任なのかという問題が必ず発生します。
そのためにも発見時にすぐに写真を撮ることによって、責任の所在を明らかにすることができます。

中古であれ、住宅購入は大金を投じて購入することになります。

あらかじめ売り手側に了承をもらい、出来る限り入念にチェックを行いましょう。
またチェックの際には一人で行うのではなく、複数の目で行うのがオススメです。

多くの視点から見ることによって、購入前に問題に気付くことができるようになります。

瑕疵担保責任を明らかにするために
「売買契約書」や「工事請負契約書」をよく読む
購入前に住宅のチェックを行う
購入前に写真を撮っておく
問題箇所の写真を撮る

手付金を支払う前に専門家と住宅を検査する

瑕疵担保負担での問題を避けるためにも、中古住宅購入にあたり以下の2点を行うようにしましょう。

耐震診断
住宅診断(インスペクション)

以上の2点は、国から住宅購入前に診断を行うことが推奨されています。
それだけ中古住宅の瑕疵は問題になっているとの裏付けでもあります。

診断を受ける方法

耐震診断や住宅診断を受けましょうと言われても、一般の人はどうしたら良いの?と思いますよね。

住宅診断とは

住宅診断(ホームインスペクション)とは、住宅に精通した住宅診断士が、第三者的な立場から検査を行います。

住宅の劣化状況
欠陥の有無
改修すべき箇所やその時期
費用
などを見極めます。

また、対策や修繕のアドバイスを行なう専門業務を指します。

中古住宅の購入前に住宅診断を行なうことで、建物のコンディションを把握することができます。

住宅診断士の選び方の注意点

住宅を診断する人として、住宅診断士(ホームインスペクター)という専門家がいます。
この住宅診断士というのは、JSHI公認ホームインスペクターの民間の資格です。

住宅診断士は民間の資格ですので、これだけ持っている方では信用性がいまいち劣ります。
そのため、住宅診断士の資格と合わせて、国家資格である建築士の資格を持っている方を探しましょう。
建築士は長い実務経験も必要であるため、難易度が高い資格になっています。

リフォーム会社に依頼する方法も

中古住宅購入とリフォームを同時に考えている場合に有効な方法です。

手付金を払う購入前にリフォーム業者と共に住宅へ見学に行きましょう。

リフォーム業者は専門家です。
事前に見学をすることによって、未然にトラブルを防ぐ方法となります。

リフォーム業者としても、いざ工事が始まってから構造上の問題が発生すると責任問題になります。

構造上に大きな問題がある場合には、リフォームでは修繕できないと判断されると…。
その場合「購入中止」を提案されるといった事例もあります。

そのような問題をさけるためにも、リフォーム業者としてもメリットがあることとなっています。

事前に見学が可能かどうか打ち合わせ時に確認をしておきましょう。

既存住宅瑕疵保険に入っているか確認する

既存住宅瑕疵保険とは

既存住宅瑕疵保険は、中古住宅の瑕疵に対して保険期間中に発生した問題に保険料が落ちる制度です。

既存住宅瑕疵保険の対象となるのは、主に構造と雨漏りです。

構造とは、基礎や壁・柱などです。
これは建物を支えるのに重要な部分ですよね。
構造に問題があった場合は住宅の根幹であるため、大きな欠陥となります。

次に雨漏りとは、屋根や扉・排水管などに欠陥により漏水のことを指します。

以上の2点の問題に対して、修理費や引越し費用・調査費用などが補償されます。

屋根から雨漏りがあったときの補修費用
壁にひび割れができたときの耐震性能検査費用や補修費用

既存住宅瑕疵保険は事前に検査が必要

既存住宅瑕疵保険の大きな特徴は、加入する前に検査が必要なことです。

検査を行うのは、国土交通省の指定を受けた保険会社。
または、保険会社の審査を受けた検査会社

既存住宅瑕疵保険に精通した専門家が、住宅の構造や防水性能に問題がないか詳細に検査します。
構造に関しては、新耐震基準に適合していないと合格できません。

古い住宅では耐震基準制定前に建てられたものもあります。
素人目には判断できないので、検査に合格しているということは、耐震基準も満たしていることになります。

検査に合格し既存住宅瑕疵保険に加入しているかどうかが、私たち買い手側に安心感を与えます

既存住宅瑕疵保険はメリットが多い

既存住宅瑕疵保険は、ただ補償されるだけがメリットではありません。

売主
検査に合格し保険に加入していることで、住宅に対する品質をアピールできる。

仲介業者
良質な住宅を取り扱うことで、買い手側にアピールできる。

買い手
検査と保険によって住宅に対する品質を確認できる。

中古住宅購入時の注意点まとめ

中古住宅購入にあたり気にしなければいけないのは、金額だけではありません。
ただ安いだけの住宅は、その分何かしらの問題を抱えている場合があります。

そのためにも、購入前に瑕疵を確認するようにしてください。
瑕疵を確認する方法として以下の項目があります。

購入前の住宅の見学を行う。
耐震診断・住宅診断を行う。
リフォームを行う場合には購入前に業者と一緒に見学する。
既存住宅瑕疵保険に加入しているか確認する。

住宅は人生において大きな買い物です。
後悔のないように注意深く、入念に計画しましょう。
特に中古住宅に関しては、念入りにすることで今後の暮らしが良いものに変えることができますよ。