握る

加齢による手の状態の把握とリウマチや脳卒中による障害と動作の変化

身体状況は加齢や疾病などによって、日々変化してきます。

そのなかで、徐々に動作の不自由さが進行していくのが、手の状態と動作です。

今回の記事では、手の身体状況に関して解説の記事を書いています。
身体状況は、対象となる人それぞれで状況が変わりますが、ひとつの参考としていただくと幸いです。

手の状態によって健康を把握できることがある

手には多くの病気に関連した重要なツボが集まっています。
その数は30ほどとも言われています。

ツボは経路によって身体の他の部分とつながっています。

また手の色やむくみによって、病気・健康状態が分かると言われています。

手の平が赤くなると慢性肝炎や肝硬変になっている危険性

ツボや手の状態から、手が身体の健康に深く関わっているということがよく分かりますね。

手の運動による老化防止

手に与える適切な刺激は、脳の発達をうながします。

小さな子どもであれば、知能や器用さの発達に繋がります。
そして、高齢者においては、衰えを防ぐ効果があると言われています。

手の指先は大脳に直結

手や指に刺激を与えることにより、手先の末梢神経を刺激することができます。
刺激を与えることで、全身の血行を盛んにし、疲労回復や心身の老化防止になりますよ。

手の機能を把握する

握力把握

親指以外の指と手の平で物体をしっかりと締め付ける持ち方です。

握力を把握することによって、手すりの設置や食事の方法など、様々な状況を把握することができるようになります。

握力は加齢により弱くなる

70歳ぐらいになると、握力は若いときと比較すると3分の2程度まで低下します。
30キロあったとすれば、20キロくらいまで低下している計算になりますね。

これは、単純に筋力が低下してきている事と、手や指先の連動性が低下していることが影響しています。
連動性に関しては事項の「精密把握」に記載しています。

精密把握

手の平を物体に接触させないで、指だけで物体を捉える持ち方です。
野球のボールなどを、わしづかみするような状態になります。

物を適切に拾うことに使う能力です。

  • 各指の広がり具合
  • 各指の関節角度
  • 力の大きさなど

この複雑な作業を瞬時に行えるような手・指の連動性を把握することになります。

握る動作と加齢の影響

握るとは、手の平と指を使ってものを掴む動作のことを指します。

掴む力は、指先に行くほど強くなります。
しかし、掴むと握るは少しニュアンスが違います。

握るは、手の平と指腹を使い、対象となるものを包むように握ることを指しています。

握りには、「押す・引く・回す」の3つの動作が伴います。

掴んで回しながら引っ張ったり、または押したりと、多くの動作を同時に行います。

このように複雑な動作を行っているときには、握る力は3分の1程度まで低下しています。

加齢とともに、つまみなどの小さなものを掴みにくくなってきます。
そのため、出来るだけつまみは大きなものを選びましょう。
また、手の平やひじを使ってでもできるものを選びます。

年齢・性別によって握力には個人差がある

性別や体格は人それぞれである通り、握力にも個人差があります。

手すりの太さや取っ手の大きさ、形状などは必ず対象となる本人が握って使用感を確認しましょう。
この確認をすることによって、設置後のトラブルを防ぐことができます。

慢性関節リウマチによる手の機能低下

慢性関節リウマチとは

症状:関節の痛み、腫帳、発赤、熱感の症状

進行していくと次第に関節の変形が見られ、拘縮がおこります。

30~50歳代の女性に多く発生します。

手や腕の動きが悪くなる

肩の関節の動きが悪くなり、前方・側方・後方と十分に腕を上げるのが難しくなります。

ひじの関節が完全に伸びなくなり、曲がらなくなってきます。

手の平を上下に返せなくなります。
これもひじの関節の動きが制限されることにより症状として出てきます。

日常生活の障害

指の変形による障害

指が変形することにより、つまんだり・握ったりすることが十分に行えなくなってきます。
そのことにより、箸をしっかりと握れなくなります。

服を着た際には、ボタンを留める動作が難しくなります。

肩・ひじの関節の不具合による障害

洋服の袖に腕を通すことが難しくなってきます。

肩が上がりにくくなるので、頭の上まで手が届かなくなってきます。
髪を梳かしたり・髪を洗う動作が難しくなります。

食事では、手が口に届きにくくなってきます。

排便では、手がお尻に届きにくくなってきます。

脳血管障害(脳卒中)による障害

症状:脳の血管が詰まったり・破れたりすることで、脳に障害が発生

この障害により身体の片側に麻痺がでることが多くあります。

また言語障害や歩行困難を併発することがあります。

片手で食事動作を行う

片手で食事を行う際には、動く手で箸やスプーンを持つことになりますので、食器を抑えるのが難しくなります。

食器が動きやすくなりますので、滑り止めが付いた食器やすくいやすい食器などがありますので、そちらを選ぶようにしましょう。

トイレットペーパーの使用

トイレットペーパー自体は薄い紙ですが、意外と片手で切るのは難しいです。
実際にやってみようとすると、なかなか切れませんよね。

トイレットペーパーをセットするホルダーには「片手用ペーパーホルダー」といって、片手で切ることができる製品があります。

手すりが握れない

脳血管障害により半身まひの状態であれば、片方の手でしか手すりを握ることができません。
そのため、手すりが片側だけにしか設置していない場合であれば、進行方向によって不自由が出てきます。

また、軽度のまひであったとしても、手すりを握るという動作が難しいことがありますので、手すりの形状を平坦なものに変更をします。

平坦型の手すりは、握る動作ではなく、手を置いて身体を支えるため、身体状況によっては有効に活用することができます。

手先の細かい動作が難しくなる

つまむ動作が必要となる水道栓・ドアノブなどは、手先での動作より手を全体を使って動かせるようにしましょう。

具体的な形状としてはレバー式にします。
ドアノブなども丸い形状ではなく、バーが付いたものの方が使いやすい形状となります。

また、ドアに関しては軽く動くような製品を選びます。
重たいと、ドアを開けて動かすときに関節に負担がかかりやすくなります。

ドアの他にも照明のスイッチも、手先の細かい動作が関係してきます。

スイッチは小さなものだと、指先で押す必要があります。
そのため、スイッチのサイズを大きくすることで、指先を使うこと無く手で押すことができるようにしましょう。